綿は、肌ざわりがよく吸湿性に優れているため、布ナプキンの素材としてもよく使われている素材。
人間が綿を生活に取り入れるようになったのは、5,000年以上も昔。現代では世界中の文化に溶け込み、生活環境のすべてに幅広く使われている天然の植物繊維です。
今回は布ナプキンを使う前に知っておきたい、普通の綿とオーガニックコットンの生産方法の違いをまとめました。
栽培方法
普通の綿
綿の原料となる綿花は非常に虫が付きやすい植物のため、一般的には農薬を使った栽培方法が行われます。
綿花を栽培する土地は種をまく前に化学薬品で消毒し、害虫や雑草を駆除しますが、同時に必要な微生物も死滅してしまいます。
綿花の栽培は「すべてが死んだ土地」から始まるのです。
種にも害虫対策のために殺虫剤が散布されます。栽培中は常に農薬で殺虫処理され、薬品漬けの状態で綿花の栽培が行われます。
病害虫に強い遺伝子組換え種子が使われることも少なくありません。
オーガニックコットン
オーガニックコットンは、無農薬・無化学肥料で育てられます。有機肥料や微生物が豊富な土壌で育てられ、農薬を一切使用しません。
害虫が嫌う植物を使った方法で駆虫したり、害虫の天敵となるテントウムシやカゲロウにも手伝ってもらいます。
収穫
普通の綿
綿の品質を保つため、茎や葉を薬剤で人工的に枯らした後に利用できる部分を収穫します。
収穫の際には枯葉剤が使われ、薬剤の種類も決して安全性が高いものではありません。
オーガニックコットン
オーガニックコットンはきちんと育ってから収穫します。普通の綿とは違い手摘みです。
栽培から収穫までひとつひとつ丁寧に行われるので、空気をたっぷり含んだ元気な綿に育ちます。
加工
普通の綿
脱脂・漂白・染色・防縮・防しわ・防腐・柔軟・つや出しなどさまざまな工程を経て糸や布地に加工されます。
この加工の工程で使用されるのが化学合成糊・苛性ソーダ・硫酸・塩素系漂白剤などの化学薬品です。
枯葉剤などを使って収穫された綿の風合いや発色をよくするために、これらの薬品を使って加工されていきます。薬品の除去作業は行われますが完全ではありません。
オーガニックコットン
綿花から綿製品になるまでの過程でも、塩素漂白や染色、防縮加工など科学薬品によるケミカル加工を最小限にとどめているものがほとんどです。
そのため日光や合成洗剤に反応して変色や縮みなどが生じることがあります。
さらに通常の綿よりも栽培~製品化までに手間ひまがかかるので、大量生産できず値段も高め。
また、漂白や化学染料による染色を行っていないものはカラーやデザインなども限られてしまいます。